少女は部屋の窓に近寄り、街を見た。

もう何年も前から、此処から見る街しか知らない。



ー・・・外に出てみたい。



そんな事を思うことすら、しなくなった。

無駄だと知っているから。余計に空しくなるだけだから。



「翼が・・・欲しいなぁ。」



もう何回も口にした言葉。それでも、諦め切れなかった。



「お話・・・したいなぁ。」



もう少女は何年も人と話しなどしていない。

少女が病気だから。

在るべきものが、無くなってしまったから。

食事をし、外を見て。なんとなく生きているだけの存在。



ー・・・意味の無い、存在だよ。



少女は自嘲気味に、笑った。

在るべきもの、それは翼。

天使であるはずの少女が、無くしてしまったもの。

翼がなければ空は飛べない。空を飛べなくては下界にいけない。

下界にいけなければ、天使の意味が無い。



「病気なの?これは、本当に病気なの?私は、また空を飛べるのー・・・?」



少女は街を見ながら呟く。

翼をなくしたのは本当に幼い頃。

だから、少女は外を知らない。否、覚えていない。

少女の視線の先には、街で楽しそうに遊ぶ子供が居た。



「いつか、あのようになれるのかしら?」



少女は羨ましそうに言った。

幼い頃などはっきりと覚えていない。

けど、両親は自分を愛してくれていた。

とても優しく、大好きな両親。

そして、姉に憧れていた自分が居た。



「此処から、一生出られなくてもいいわ。

けれど・・・けれど、家族に会いたい。

空を飛べなくても良いから、会いたい。」



少女は街を見るのをやめ、俯いた。

翼をなくしてから、家族にはあっていない。

いつの間にかある食事。

部屋には、風呂もトイレもちゃんとある。

なんとなく生きているだけ。

いつかまた、翼が戻ると信じながら。

そうすれば、家族が迎えに来ると願いながら。

伏せた眼には涙。



「私は、意味の無い存在だわー・・・。」



少女は、空を見上げた。





 












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