記憶ってそんなに大切なモノ?
思い出って無いと困るモノ?
そんなの、なくても生きていけるわ。
Eternity
――――――――序章・それは、悲劇の前兆。V
あの子はいつも無表情。
あの子はいつも話してくれない。
何で、何で。
「ねぇ、聞いて」
それでも私は、話しかけ続けている。
いつかあの子が笑ってくれると信じて、
話しかけ続けていた。
地界には私とあの子と父サマしかいないから。
地界……全ての魂の眠る場所、還る場所。
天界や人界で生命の旅を終えた魂はここに帰ってきて次の旅に出るまで眠る。
中には例外に、旅にもう出ることのない魂もあるけれど。
大罪人だとか、何度も転生し、ボロボロになってしまった魂だとか。
でも大体が眠りについているこの地は静かである意味平和そのものだ。
だから、いつもと違う事が起きるなんて思わなかった。
「瑞樹・セフィード・・・・か」
「・・・・死んじゃったの?」
ある時、父サマがいきなり目を瞑り、呟いた。
父サマは何時でも何処でも誰かが死んだ、という事が分かるらしい。
私はまだ"見習い"で"修業中"だから
同じようにしてみるけど、何も感じられない。
「ああ、今。可哀想に・・・・・鎮魂歌を謡って差し上げよう」
「・・・・・うん・・・・・」
何が可哀想なのだろう。
この世界に来る魂は、皆同じ。平等なのに。
彼女の何が可哀想なのだろう。
むしろ彼女は生前、裕福だったのに・・・・。
瑞樹・セフィード。
人界における大国のお后サマ。
生まれは特に裕福でもなければ、貧乏でもない。
調べてみたけど夫婦仲は良好。人からすごく恨まれているわけでもない。
やっぱりわからない。
何が"可哀想"なの?父サマ。
一日の仕事を終え、私はいつも通りにあの子のところに行こうとした。
あの子にも聞いてみようかな、"可哀想"の事について。
聞いても無駄かもしれない。
けれど、何も受け答えしてくれなくとも、他人に話すことによりスッキリすることってあるから。
だから私は今日も言うの。
今日も一日、お疲れ様って。
「貴方を救いたいの。・・・・・受け取って、下さいますか」
あの子の部屋の前、聞こえた声。
ここにはあの子と私と父サマしか居ない……ううん、起きていないのに。
父サマのとは違い、高い声。
私のとは違う、大人びた声。
私の知らない声。
「待って!・・・っ行かないで・・・・っ!」
その女は、あの子を救った。
私に救えなかった、あの子を。
それが、寂しくて、悲しくて・・・・悔しかった。
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